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科学班の恋【D.Gray-man】

第79章 無題Ⅱ



「ほら、やっぱり」

「…こりゃあ見つからない訳だ…」



リーバー班長と研究室の隅っこに向かう。
其処に設置された長机には、所狭しと無造作に置かれたフラスコやビーカー類。
更に皆のデスク同様、資料や書類の束で大きな山を作っていた。

その中を二人で上から覗き込む。
予想は的中。
見えたのは、書類に埋もれて屍のようにうつ伏せている、ジョニーとタップの姿。



「コラそこ~、死ぬな。起きろーっ」



あまりの書類の山に、中々二人には手を伸ばせない。
少しでも資料の束にぶつかったら雪崩が起きそうだ。

触れないように覗きながら疲れた声をかける班長に、屍と化していた二人の体が、ピクリと動く。
顔を机に押し付けたままこっちを見た顔は…うわ。
不健康な顔の色白さに、目の周りが陥没したかのような酷い隈。
半開いた口の端からは涎なんて垂れてる始末。

なんかもう…色々と酷い。
いつから此処で仕事してたのかな…。
……そういえばここ数日、まともに姿見てなかった気がする。



「し…死なして下さい…」

「もう…動けねっす…残業無理っす…」



しわしわの乾いた唇から漏れたのは、霞むような細い悲鳴。
…切実な悲鳴だな。



「何言ってんだ。お前らには追加分の仕事がきてんだよ。さっさとそれ終わらせろ」

「えええ…っむ、無理っす…はんちょぉ~…」

「…オレ…このまま眠れんなら、一生目覚めなくていいやぁ…」



涙ぐみながら弱々しく首を横に振るジョニーの隣で、切実な願望をタップが口にする。

…その気持ちはわかる。
うん、とってもわかる。



「何馬鹿なこと言ってんだ!起・き・ろ!」

「い、イダイっす…!」



あ。

とうとうお怒りになった班長が、無理にでも手を伸ばして書類に埋もれたタップの頬を強く抓った。
ぐにぐにと引っ張られて、脂肪あるタップのほっぺが伸びる。

おお…伸びる伸びる。
あんなに伸びてるの初めて見た。

なんか面白い。

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