第78章 灰色の世界
高い天井からボタボタと落ちてくるAKUMAの残骸。
その中で一層大きな塊が、ゴトンッ!と鈍い音を立ててクロス元帥の足元に落下する。
ゴロリと転がって止まったそれは、レベル4の生首だった。
「くくく…くはははははっ」
罅割れた首だけで尚、高笑いするAKUMAはまだ動いていた。
まるで手足を捥がれても動き続ける昆虫みたいに。
「いいきにならないでくださいね。ぼくていどをはかいしたくらいで」
血走った目で見上げる先はクロス元帥。
「おまえたちなんていつでもほろぼせるっ」
その視線を受けて、微動だにしない元帥は口元に笑みを浮かべたまま。
「かつのはわれわれなのだ!」
「ぶぇっくしょい!」
───ドンッ!
わざとらしいまでのくしゃみを零した元帥の手から、反動で放たれる銃弾。
それはまるで正確に狙ったかのように、レベル4の頭を打ち壊した。
「おっと」
"しまった"とでも言うかのようにおどけて呟く元帥は、変わらぬ笑みを浮かべたまま。
「実験サンプルにするつもりだったのに」
白々しい程の台詞を吐き捨てた。
跡形も無く消えた、レベル4の生首があった場所に向かって。