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科学班の恋【D.Gray-man】

第78章 灰色の世界



クロス元帥の銃弾を受けたレベル4が、唖然と固まっていたのは一瞬だけだった。



「おげっ…!?」



ボコボコと、急にその体が不規則に膨らみ始める。
銃弾を受けた場所から、まるでウイルスか何かに感染したかのように。



「おっおおっお…っ!」

「おっとそうだ、理由だったな」



目の前でボコボコと風船のように膨らんでいく醜いAKUMAの姿に、平然と笑みを浮かべて語りかける。
イノセンスというウイルスを撃ち込んだ本人。



「一発は教団の連中の分ってことにしてやろう、一応な。俺だってそこまで酷い人間じゃない」

「おえ…っぇえええ!!!」



その耳にはまるでAKUMAの悲鳴は届いていないようだった。
わざとらしいけど。



「で、残りは俺の服を台無しにした分だ」



汚れた真っ黒な服を身に纏って、にっこりと浮かべる笑顔。
にっこり綺麗に笑ってんのに、凶悪なものにしか見えないクロス元帥の笑顔。

そういや汚いもの大嫌いだったさな、あの元帥…。

初めてクロス元帥と会ったのはノアの方舟の中。
ティキ・ミックとの戦いで煤汚れていたオレ達に近付くなって睨みを利かせていた。
アレンなんてその体を思いっきり遠くに投げ飛ばされてたし。



「はーっはっはっはっ!」



横暴な理由を口に高笑いするクロス元帥に、思わず沈黙を作ってしまったのはオレだけじゃないはず。
ほらアレンとリナリーの顔もなんか青褪めてるし。
あれ呆れも入ってんじゃね、アレンとか。



「おおおおおおっ!」

「ッ!レベル4が…!」



すると不恰好に醜い姿に膨らんだレベル4が、急にクロス元帥の目の前から飛び立った。
垂直に飛んで目指すは、大広間の天井。

まずい、逃げる気だ…!

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