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科学班の恋【D.Gray-man】

第78章 灰色の世界



「いいや、お前はブッ壊されんだよ」



レベル4に言葉を返したのはアレンじゃなかった。
もっと低い声。

ドンッと退魔の剣が何かの衝撃で揺れる。
壁に突き刺さった剣の上に飛び降りたクロス元帥が、イノセンスである銃を構えていた。

それも一瞬。
地を蹴るような音がしたかと思えば、その体はもうレベル4の目の前にいた。

速っ



「理由を教えてやろうか」



理由、と問いかけると同時にドン!と一発の銃弾が放たれる。



「ぎ、ぎぎ…ぎ…!」



覚醒したティキ・ミックをも簡単に倒したクロス元帥のイノセンスの銃弾。
至近距離で撃たれたそれを、レベル4は両手を翳して…嘘だろ。
止めやがった。



「ふ…っあまくみられたものですね…こんなもの!」



ギリギリ止めた銃弾を、両手を左右に弾いてパン!と弾き消す。



「マジかよ…」



あのクロス元帥の弾を止めるなんて。
ノアであるティキ・ミックより強いのか?あいつ。



「ふふ…」



口元に笑みを浮かべるレベル4に、対するクロス元帥もまた何故か笑っていた。



「見えたのは一発だけか?」



煙草を咥えた口元に笑みを浮かべたまま、構えていた銃を真上に立てる。
リボルバー型の弾倉から、バラバラと落ちていく空になった銃弾。



それは一発だけじゃない。



ってことは───



ジジ…



レベル4の体から発せられる電磁波のような音。
それはアレンの退魔の剣を受けた時の、バチバチと発生していた電気のような音に似ていた。

ツゥ、と白い額から零れる赤黒い血───AKUMAのオイル。
その額には銃弾を受けたような穴が開いていた。



「…うそ」



ぽつり。
呟いたレベル4の口から同じ血のオイルが溢れる。

受けた弾丸は額だけじゃない。
右肩、胸、右足、左足。



「……むっちゃ速ぇ」



一発しか撃ち込んだように見えなかったのに。
リナリーの"黒い靴"以上の速さじゃねぇの。

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