第78章 灰色の世界
「やっ───」
ドンッ!
やった、と思わず声が漏れそうになったオレの口を止めたのは、更なる別の衝撃音。
「こ、今度はなんさ…っ!?」
「チッ、新手か?」
広間の壁の外側から攻撃されたらしく、大きな穴を開けてガラガラと瓦礫が崩れ落ちる。
ユウと嫌な予感に目を見張る。
またレベル4並みのAKUMAなんて出てきたら冗談じゃねぇ。
これ以上の戦力は絶望的だ。
パタタタッ
そんな不安の中、視界に飛び込んだのは金色の小さな塊だった。
あれは…ティムキャンピー?
まるで興奮した様子で、一直線に瓦礫が崩れ落ちる衝撃の元へと向かう。
「撤退は中止だ、コムイよ」
外側からの攻撃で大きく空いた穴。
黙々と上がる煙の中から聞こえたのは、低い低い声。
───あ。
この声は…
「このビールッ腹野郎が」
ふおっと風が靡いて、煙が薄れる。
その中から現れたのは、大きな銃を片手に黒いドレスを纏った屍女性を連れた大柄な男性。
「実験サンプルにしてやる」
死んだと思ってた。
南達と共に、あの第五研究所で消え去ったと思ってた。
それはオレやアレンの部隊の元帥。
クロス・マリアンの姿だった。