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科学班の恋【D.Gray-man】

第78章 灰色の世界



ドゴ…ッ!



虫程度の大きさにしか見えていなかったレベル4が、リナリーとアレンの攻めによって地面に叩き落とされる。
休む暇を与えず、その腹目掛けて退魔の剣を垂直に刺し込もうとするアレンの動きを止めたのは、白い小さなAKUMAの手だった。
見た目は小柄な人のようなものなのに、腹を串刺しにしようとする剣を小さな両の手で止める。



「ふ。ざんねんでした」



その顔に笑みさえ浮かべて。



「どうかな?」

「!」



だけどそれはアレンも同じだった。
アレンの口元に笑みが浮かんだ瞬間、退魔の剣の柄の上に垂直落下したのはリナリー。
その衝撃で退魔の剣が深くレベル4の腹に喰い込む。
それでもその腹を突き破るまでには到達しない。

あれだけの攻撃を喰らって傷一つ負わないなんて…どんだけ硬い体してんさ。
マジで化けモンだな。



「っ…!」



もう一度、高く宙に舞い上がるリナリーの体。
二撃目を叩き込むつもりなんだろう。



キュィイイン…!



そのイノセンスの波動がこっちにまでビシビシと伝わってくる。
新しく発動したリナリーのイノセンスは、明らかに今までのダークブーツとは違っていた。

今までのものより、ずっと硬くて速い。
強くなってる。



「はなせ!!!」



更に強い衝撃がくると悟ったんだろう、レベル4の抵抗が大きくなる。



「放すかッ!」



それでも右手一本退魔の剣で抑え込んでいるアレンも退かない。

ここで退いたら駄目だ。
これ以上の勝機はない。

ここであいつを仕留めねぇと。



「はなせこのぉ…!」



その時、一瞬。
ほんの一瞬だけ。



「──!?」



抗うレベル4の体が不規則に動きを止めた気がした。
まるで何か体内で異変が起きたかのように、一瞬だけ体を振動させて。



ドン…ッ!!



瞬間、垂直に舞い降りたリナリーの一撃がアレンの退魔の剣へと落ちる。
同時にとうとうその白い腹を突き破って、深々と剣はレベル4を貫いた。

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