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科学班の恋【D.Gray-man】

第78章 灰色の世界



…ま、そうだろうな。
それだけ強い意志がなけりゃ、こんな血ばかり見る世界で成り上がったりできない。
ある意味ルベリエらしいと、内心納得した時。



ドォオンッ!



「な…!?」

「地震…っ!?」



また建物内部が大きく揺れた。



「近くだ…!」



一気に階段を駆け下りたルベリエが、目的地であるその大きな扉を開く。
この先はヘブラスカがいるイノセンスを保管している大広間。
大きな衝撃音は、其処から聞こえた。

まさかもうレベル4が───



「ヘブラスカ!」



バンッ!とルベリエの手で開かれる両扉。
見えたのは、高い高い天井の上から降りてくる中央用の浮遊する巨大エレベーター。

──違う。

降りてくるんじゃなく、落ちてくるエレベーターの姿だった。



「コムイ…!」



広間の真下でエレベーターを見上げ呼ぶヘブラスカの声に、瞬時に理解する。
あのエレベーターには、恐らくコムイが───



「兄さんッ!!」



そのままオレ達の目の前で煙を上げながら落下したエレベーターは、地面と衝突すると大きな爆発を起こした。
やべぇ…っ!



「助けてくる!まだ間に合うかもしれねぇ!」

「ラビ…!」



咄嗟に広間の宙に設置された通路から飛び降りる。
そのまま爆発を起こしているエレベーターの残骸に向かって駆けた。



「生きててやれよコムイ…!」



お前の為にリナリーは体張って戦おうとしてんだ。
お前が死んだら、リナリーはオレと同じになっちまう。
それだけは避けねぇと。



「っごほ…!くそ、煙が…ッ」



落下したエレベーターは、酷い有り様だった。
巨大な穴が開いてもう動きそうにない。
その衝撃はレベル4によるものか。

黙々と立ち昇る煙に目が沁みる。
そんな視界の悪さの中、



「神…田くん…!僕を庇って…!?」

「煩い。騒ぐな」



確かに聞こえたのは、知った二つの声。
この声…っ



「コムイ!とユウか!?」



煙の中を走り進めて見えたのは、エレベーターの残骸の横で座り込んでいるコムイと、その傍に立つユウの姿だった。
ユウの体から同じように立ち昇っている煙。
それはユウの体を半分も、大きな焼け爛れた傷跡が覆っていたから。

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