第77章 生と死
✣
「───…っ!」
凄まじい衝撃波だった。
レベル4が放ったんだろう、その衝撃波は離れて倒れている僕の所にまで影響を及ぼした。
ゴォッ!と凄まじい爆風が舞う中、吹き飛ばされた巨大な瓦礫のパイプが落ちてくる。
「ぅ…ッ」
体が動かない。
避けきれない。
ダンッ!
動けない僕の顔の横で、誰かの強い足音が響いた。
バシッ!と鋭い刃物かなにかで断ち切る音がして、落ちてきたパイプが真っ二つに割れる。
「く…ッ」
「リ…ンク…!?」
さっきの超音波のような音にやられてるんだろう。
頭を押さえながら、ふらつき僕の上に立っていたのはリンクだった。
「君に…まだ死なれるわけにはいきません…」
その目が僕を映して、それから───
「!」
強い光が見えた。
その光に誘われるままに眼下に目を向けて…唖然とした。
「な…に…っ!?」
そこには"何もなかった"。
本来ならあるはずの研究広間。
それが全て"なくなっていた"。
広間の床全て、大きなクレーターのような穴が開いている。
その穴はゴウゴウと凄まじい炎の熱気となって、溶岩のように強い光を放っていた。
「科学班の皆…?ブックマン…マリ?…ミランダさん…!?」
誰もいない。
その中心で宙に浮いているレベル4の姿を除いて。
「師匠…ッ南さん…!」
誰もいない。
全ては光と熱気だけ。
「落ち、た…?そんな…っ」
寒気がする。
まさか。
皆が…やられた?
「馬鹿なっそんなまさか…元帥がやられるなんて…ッ」
リンクの言葉が突き刺さる。
そんな。
まさかそんな。
師匠が。
マリ達が。
科学班の皆が。
まさか…死───…
「ッ…!」
最悪の考えが脳裏に浮かんで、咄嗟に首を横に振る。
嫌だ。
そんな馬鹿なこと。
「っ…南さん…ジョニ…ッ!」
守るって言ったのに。
もう血を流させないって決めたのに。
そんな。