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科学班の恋【D.Gray-man】

第77章 生と死



「ギャッハッハッハ!馬鹿め馬鹿めッ!」

「いいぞレベル4よ!」



誰もいない、ゴウゴウと炎の上がる音しかしないその場に響いたのは、攻撃を真逃れていた、結界装置に捕われているスカル達の笑い声だった。



「流石伯爵様と我らの兵器よ!」

「さぁここから出してくれーい!」



研究広間の出入口を覆った、黒いノアの方舟の壁。
その前で捕われているスカル達の声に、レベル4も気付いたのか。
軽い身のこなしでその場に舞い降りる。



「早く戻らねば、伯爵様にご迷惑がかかるのでな」

「お前ならこんな結界、容易であろう。ハハッ」



スカル達の言葉に従うかのように、レベル4が片手を掲げてその手に光を集中させる。



ドン!



そのまま放った光は簡単に結界装置を突き破って───



「………へ?」



スカルの体ごと、大きな穴を開けた。



「ばッ馬鹿…っワシまで殺…っ」



言葉は最後まで形を成さず、事切れたスカルが倒れ込む。
それを見つめるレベル4の表情に感情は見えない。
首を傾げるように傾けて、無表情にじっと見下ろしているだけ。

ぞわりと寒気がした。

あれは事故じゃない。
故意的なものだ。



「きっ貴様…!」



声を荒げる残りのスカルにも容赦なくその光の刃は突き抜けた。

ドン!と無情な音は数発。
その数発分、スカルの命を光は貫いた。

敵の方舟からやって来たであろう、スカルと。
そのスカルと同じ風貌にされた、科学班の研究員達の体を。



「ふふ、すみません。ぼくいま、こうふんしてて」



悪びれた様子なく笑うAKUMAは、子供のように無邪気な顔をしていた。



「この"おく"にもっとにんげんがいますね…?」



その声に反応するかのように、出入口を塞いでいた方舟の壁が床へと沈んでいく。

駄目だ。
その先は教団本部内全域に繋がっている。
沢山の本部の人間がいるのに。



「やめろ!!!」



咄嗟に張り上げた声にAKUMAは振り返ることもせずに、その先へと飛び立った。

あの白いAKUMAが言った通り、その先に待っているのは"殺戮"だけ。



それは死への宣告だった。









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