第77章 生と死
「さつりくへいき。ぼくのそんざいりゆうをじっこうさせてもらいましょう」
思い出すように淡々と言い切るレベル4は隙だらけだった。
その隙を突いて、小さな肩を足で上から抑え込む。
「させるか!」
考える暇も与えず、発動を切り替えた左手でその体を叩き付けた。
ドゴォッ!
左手は確かにその体を床に叩き付けた。
床を抉って大きな穴を開けてまで。
だけど。
「!?」
その穴の中には、攻撃したはずの白い体は見当たらない。
「まずはおまえからです」
声は真正面からした。
顔を上げる。
ピンッ
逆さまに身を翻していつの間にか僕の目の前に移動していたその体は、小さな手を突き出して僕に向かって指を弾いた。
ただそれだけ。
それだけの動きだった。
───ミシッ
骨が軋むような音。
刹那。
「──ッ!?」
体がその威力によって吹き飛ばされる。
バキバキと骨が砕ける音が体内に直接響いた。
ドンッ!!
衝撃。
気が遠くなる程の。
シュウウウ…
吹き飛ばされた体は二階通路の壁にめり込んで、その場に崩れ落ちる。
衝撃で巻き上がる煙の中、倒れ込んだ自分の体はピクリとも動かなかった。
「か…は…ッ」
上手く息も吸えない。
臓器がやられてしまったのか、口から吐血する。
痛い。
痛いなんてもんじゃない。
感覚が麻痺しそうな程の衝撃。
「みなごろしです」
意識が遠くなりそうな頭で、微かに捉えた声。
それは拙い子供のような響きで、不気味に笑う声だった。