第77章 生と死
「…っ」
「アレ、ン…」
ぎゅっと二人の繋がれた手を握りしめる。
これ以上、二人に血を流させたら駄目だ。
体だけじゃない、心で流している血。
これ以上、二人の心を傷付けさせたくない。
「おおおぉお!!」
その手を離す瞬間に、渾身の力を振り絞って地を蹴る。
同時に発動した退魔の剣で、AKUMAに斬りかかった。
「お前を破壊する!レベル4!」
けれどすぐ傍にいたその小柄な体は、なんなく飛躍するとあっさりと攻撃を避けた。
紙一重で次々と攻撃を避けていく。
その顔に動揺の色は一切見られない。
「何…!?」
「しまった…!これはAKUMAのノイズ…!」
追いかけるままに突進すれば、いつの間にかブックマンとマリのいた場所へと駆けていた。
二人の目がレベル4を見て驚愕したものに変わる。
「あー」
同様にレベル4もその目で二人をちらりと視認すると、まるで何か思い出したかのように、額に指先を当てて声を上げた。
「そうだ、わすれてました。ここはくろのきょうだんほんぶでしたね」
拙い子供のような声で、子供らしかぬ言い回しをする。
「ブックマン!あっちに怪我人がいます、助けて…ッ!」
「!」
南さん達を放っておくこともできない。
地を蹴りながら、ブックマンに最低限の言葉で伝えた。
一人でも多くの命を助けないと。
倒れていたリーバーさんやバクさん達。
意識を失っているだけならまだいいけれど、それでもきっと重症だ。