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科学班の恋【D.Gray-man】

第77章 生と死



───ズズ…



星型模様が体中に増えていき、あっという間にマービンさんの体を真っ赤に染める。



「マービンさん…ッ!!」



立ち上がれないのか、その場で這うようにして南さんがオブジェに向かって縋り付こうとした。
瞬間、悪寒が走った。



「ッ駄目だ待って!」



咄嗟に南さんの元へと駆けて、その体を抱き止める。
この歪なオブジェがなんなのか。
考える前に危険信号が頭の中に鳴り響いていた。



「放してッ!マービンさんが…ッハスキ、さ…ッ!死んじゃ…!」



抱えた体が、抜け出そうと藻掻く。
力が入らないのか、弱々しい力で。

涙と血の跡が沢山付いた南さんの顔が歪む。
どんなに自分の体が怪我しても、僕に笑いかけていたのに。
その顔は目の前の光景に酷く歪んでいた。



「助け…ないと…ッ!」



その目は一切、僕を見ていない。
今彼女の目に映っているのは、目の前の光景だけ。
それでも、その束縛を解いてあげることはできなかった。



「…みなみ…わる、い…」



濁ったマービンさんの声が、南さんの名前を呼ぶ。
その声に、藻掻いていた抵抗が止んだ。



「マービ…さ…」

「ふ、んばれ…なく…て…」



辿々しく落ちてくる言葉に、腕の中の南さんの体が震える。



「ぃゃ…嫌、マービンさ…っ」



ぽろぽろと、その瞳から涙が零れ落ちる。
もうその体は抵抗を見せなかったけれど。



「わ、私が…タップ…助けてって、言ったから…っ私が…っ」



何度も微かに首を横に振りながら、震える声で涙する南さんの姿。
胸が締め付けられた。



「私が…っマービンさん、頼った、から…っ」

「…なに…ってんだ…」



マービンさんの口から零れる声は微かなもので、耳を澄ませないと聞こえない程。



「あれ、は…おれが…きめ…た…こと、だ…」



その体は全て赤黒く染まって、もう肌の色も見えない。



「だ…て……おれは…おまえ、の───…」



その先を言葉にしようとして、










───パキン










肌は砕けた。

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