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科学班の恋【D.Gray-man】

第77章 生と死



「なんだ?」

「…いえ…なんか照れるな…って」



思わずマービンさんを見て苦笑する。
するとその顔はいつもと変わらない、砕けた笑みを見せてくれた。



「何を今更。あんなに熱いハグをし合った仲だろ」

「あれは、一方的に…マービンさんから、です」

「そぉか?」



アジア支部の任務から帰ってきた時も、幼児化していた私にマービンさんは羽交い絞め並みの強いハグをしてくれた。
…でもあのハグ、ほっとさせてくれたんだよね。
変わらずにいられた自分を実感できて。



「そういう話は後でゆっくりやればいいから。先に避難するぞ」

「了解」



退避を促してくるハスキンさんに、マービンさんが辺りに視線を巡らせる。



「行くぞ、ジョニー」






だけど。






「……ジョニー?」






さっきまで確かにいた小柄なその姿は、忽然と消えていた。






「どうした?お前ら早く避難を───」

「班長っ!ジョニーが…ッ」

「え?」



慌てて辺りを見渡す。
至る所AKUMAの血のように赤い煙で充満しているから、よく見渡せないけど。
やっぱりジョニーの姿は見当たらない。
一人で歩くのもやっとな程の大怪我をしていたのに、何処に消えたのか。



「まさかAKUMAに…っ?」

「いえ、此処辺りのAKUMAは僕が全て救済しました。AKUMAにやられるなんてことはないはず…」



左眼を発動させたまま、はっきりと首を横に振るアレン。
AKUMAを探知できる目を持つアレンだからこそ、その言葉には信憑性があった。

じゃあ一体、ジョニーは何処に。



「まさか…」



はっとしたように声を上げたのは、バク支部長だった。



「タップを…助けに行ったんじゃ…ッ」



え───



ドドドッ!!!



そこに唐突に銃撃戦のような激しい断末魔が響く。

音の先。
赤い煙が少し晴れた隙間から見えたのは、大きな水の塊のようなものだった。
水の塊だけど、うねうねと動くそれは人のような形を保っている。

何…あれ。



「っ!ミランダさん!」



その水の塊の中に、薄らと見える人影。
まるで溺れるように四肢を投げ出して水の中でぐったりとしているそれは、アレンが叫んだ通りの人だった。

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