• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第76章 終わりの始まり



「っ…だ、だめ…ッ班長、駄目!」



AKUMAの腕の中で南が暴れる。
南がそういう反応をすることはわかってた。
他人の命に敏感な奴だ、そうやって心を傷付けるだろうってことも。



「タップ…こんな姿に…ッ」



でも俺はどうやら、バク支部長みたいに冷静でいられないらしい。
…悪いな、こんな幼稚な上司で。
でも此処にいる皆、お前も含めて俺の部下なんだ。
そいつらを守るのは俺の務めだろ。



───だから、






「俺の部下をテメェらにやるなんざ冗談じゃねぇ!南を放せ…!」






俺の脳ミソでも代わりに持っていけよ、クソ野郎。






「おほ、"班長"!それは大歓迎だねェ!」

「──!」



一瞬の間だった。
南の隣に立っていたはずの髑髏の顔が、すぐ目の前にあって、既にその固い指の感触は俺の額にあった。



「だ…ッ班長!」



南が叫ぶ。
それを気にかける間もない、本当に一瞬の出来事だった。



「じゃあお前、二体目だ」

「ッ!」

「やめて…!!!」



髑髏の笑い声と南の悲鳴を耳に、反射的に目を瞑って歯を食い縛る。

これで死ぬのか、とか。
タップと同じになるのか、とか。
結局南の顔を歪ませてるじゃねぇか、とか。

そんなことを思う余裕も一切なしに。










───…ブッ…!










それは起きた。










「ア…」










目の前の髑髏の姿が、綺麗に真ん中から盾に割れる。

未だ目に溜まった涙で、僅かに滲んだ先。
髑髏の真上から大剣を突き刺して、器用にその柄に足を乗せて立っている人物。










「……アレン…」










それは見間違いなんかじゃなく。
確かに待ち望んでいた、姿だった。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp