• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第76章 終わりの始まり



至る所赤く染まった床。
鼻に突く鉄の臭い。



「タップ…ッ!」



はっきりと広がる視界に見えたのは、額を髑髏の手で翳されても尚、タップに手を伸ばす南の姿だった。



───ドンッ!



咄嗟に引き金を引いた拳銃は、髑髏の頭を打ち抜く。



「なんてことしやがる…ッ!」



そこで初めて、AKUMAの腕の中にいる南の顔がタップから俺へと向けられた。



「……リーバー…班長…」



その顔はボロボロと沢山の涙跡を付けた、散々足るものだった。
そこまで南の顔を歪ませたのは他でもない。

変わり果てたタップの姿。

一気に視野が広がった赤い赤い世界。
其処で真っ先に目に飛び込んできたのは、至る所に飛び散った夥しい血。
殺された部下と、瀕死の手傷を負わされた部下達のもの。

その中で尚、はっきりと俺の目に映し出されたタップと南の姿。

沢山の涙跡を付けた南の顔も俺の心を痛めたけれど…それ以上に身を竦ませたのは、はっきりと見えたタップのその異様な姿だった。
真っ黒に焼け焦げた体。
髑髏そのものの顔。
生きているのか、死んでいるのか。
それすらもわからない、本当に"人形"のような姿。



「あイタ★ったた…やれやれ…誰だい、お前さん」



まるで、銃弾を打ち込まれた頭を擦りながら暢気にほざく、この髑髏のような姿。
…くそ、やっぱりただの銃弾じゃ効かねぇのか。



「科学班班長のリーバー・ウェンハムだ」



だけど今の俺に出来ることなんて、こんなことくらいしかない。



「出来の良い脳ミソが欲しいんなら、俺をやれよ」



勝算なんてない。
それでもタップを、南を、此処にいる部下達をこんな奴らにくれてやるくらいなら。
好きに弄ばれるくらいなら。

黙って耐えるより、無駄でも抗った方がまだマシだ。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp