第76章 終わりの始まり
「どれどれ、出来の良い脳ミソはいるかな?」
並べられた部下の一人に歩み寄った髑髏が、その手を頭に翳す。
淡く光る掌。
なんだ、何してやがる。
思わずドライバーを握った手を止めて、食い入るように見る。
「ん~…こいつは駄目だね」
何か考え込むように呟いたかと思えば、その髑髏は手にした筆で部下の顔に大きなバツを記した。
「バツしたのは要らないよ」
「え…っな───」
声をかけたのはバツを付けた部下に対してじゃない。
傍にいたAKUMAに対して。
立場はAKUMAより上なのか。
その髑髏の言葉に従うかのように、バツを付けられた部下に歩み寄ったAKUMAは。
「ギャ…ッ!」
グシャリと、その頭を踏み潰した。
「な…ッ」
思わず声が上がる。
急なことに目を疑った。
「はい、次。ん~…これも駄目だね」
「…っ!やめ───ギャア…!」
「はい次」
「グェ…!」
まるで品物の良し悪しを定めていくかのように、順番に並んだ部下達の頭を探っていく。
その度に顔にバツを付けて、付けられた部下は無情なAKUMAの足によって踏み潰されていく。
グシャリと頭を潰していく音と、飛び散る赤。
「次」
「ぎ…!」
「はいはい次」
「ゲッ!」
赤黒い濃い血が舞う度に、散っていく部下達の命。
あまりに簡単に潰されていくその命に、気付けば体が動いていた。
「あいつら…ッ」
『行くな!リーバー!』
機材の隙間から飛び出そうとした体。
まるで見えているかのように、それを止めたのはイヤホン越しのバク支部長だった。