第13章 初任務
「別にAKUMAの目撃情報なんてないんだしさ。ただの怪奇現象を、イノセンスと関係あるものか調べてくるだけだよ」
ふー、と面倒臭そうにコムイ室長が溜息をつく。
「君達は南くんの保護者かい?違うだろう」
「リナリーの任務先に問題がある度、他のエクソシストにその任務押し付けてんのは何処の誰ですか」
「リナリーは僕の実の妹だからね。心配して当たり前だよ。それに可愛いからね!」
室長、最後の一言は余計です。
可愛いのは認めますけど。
室長の余計な一言にヒクリと口元を怒りで震わせるリーバー班長。
それでも押し黙ると、額に手を当てて盛大に溜息をついた。
「はぁ…ったく、」
そしてその目は私に向いた。
「…いいのか、南」
「は、はいっ」
慌ててソファから腰を上げて大きく頷く。
確かにアレンに誘われたのがきっかけだけど、私自身も任務に同行したいと思った。
ラビとの問題もあったけど…純粋に、エクソシストの仕事というものを間近で見てみたかったから。
エクソシストの主な仕事は、任務先でのイノセンス回収やAKUMA討伐なるもの。
「エクソシストのサポートをするのが、科学班の役目です。その力になれるなら協力したいです。…確かに私は、ファインダーとしての力もないけど…」
でも今回はイノセンス回収任務だから。
AKUMAと戦闘をしに行く訳じゃない。
だからこそ、私でも力になれるなら、と。
「…お前らしいというか、なんというか」
じっと私を見ていた目を瞑って、リーバー班長は軽く肩を下げた。
「わかったよ。任務の同行を許可する」
「!」
やった…っ
思わずリーバー班長の顔を見て笑顔が零れる。
「上司の許可は下りたようだよ、ラビ」
そんな私に、ひらりと手を振るコムイ室長にラビは一人、眉間に皺寄せたまま。
「……はぁ」
暫く沈黙を作った後、ガシガシと頭を乱暴に掻いて諦めたように溜息をついた。