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科学班の恋【D.Gray-man】

第76章 終わりの始まり



「出たよ、我儘支部長ズ…」

「どうします?リーバー班長」

「はぁ…」



思わず現実逃避したくなって出入口から視線を逸らしていると、マービンとハスキンが俺を現実に引き戻した。
つい溜息が零れる。



「班長ぉ~…」

「…ったく、」



助けを求めるようなジョニーの声も聞こえて、流石にこれ以上は無視できなくて振り返った。
再度見た出入口では、相変わらずバク支部長達が我が物顔で邪魔しようとしていた。

思わずイラッとする。
クソ、やっぱりカルシウムが足りてない。



「………」




…もう一発くらい殴っていいよな。
俺より立場は上だけど、もうあれただの我儘な子供みたいなもんだし。

殴っていいよな。
女性のレニー支部長には流石に手は出せないけど。
いいよな、うん。



「リーバー班長、私止めて来ますからっ」



握り拳を作って踏み出そうとした足を止めたのは、近くにいた南の言葉だった。



「班長は皆への支持を引き続きお願いしますっ」

「あ、おいっ」



止める間もなく、足早に出入口に向かう。
多分俺の為に気遣ってくれたんだろう。
そんな南の心遣いがわかったから、つい足は止まってしまった。



「ジョニー!」

「あ、南?」

「バク支部長、これ以上邪魔したらリナリーに言いつけますよっ」

「な、何故邪魔になる!手伝うと言ってるだけだろうリナリーさんには言うな!」

「じゃあ邪魔しないで下さいっ!」



バク支部長の弱点であるリナリーの名を口にしながら、早口に追い返そうと捲し立てる。
南も新人時代に比べたら、随分成長したな…。
まぁ気遣いはするが言う時はちゃんと言う奴だし。
あれで経験を積めば、それなりに立派な研究員になるんじゃないか。

そんな南の姿に、思わず頬が緩む。



「うわ…班長が笑ってる…」

「なんか怖いな、あのやつれた顔で笑ってんの…」

「……なんか言ったか」

「「いいえ!」」



コソコソと後ろで話すハスキンとマービンに振り返れば、即座に首を横に振られた。
ったく、いいからお前らもちゃんと持ち場についてろ。
支部長達を追い返したらすぐ作業に取り掛かるからな。

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