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科学班の恋【D.Gray-man】

第76章 終わりの始まり



「…はぁ」



よくよく振り返れば、どうやら南は俺にとっての鎮静剤みたいなものだったらしい。
そういやバク支部長に方舟解析で邪魔された時も、南と一緒だと手を出さずに済んでたもんな…。



「…早く戻ってこい」



高い研究室の天井を見上げながら、思わずぼそりと呟く。
仕事の為にも、俺の為にも。






「なぁ南、そう拗ねんなって~」

「そうだよ。アイドルの座はリナリーしかいないんだからさー」

「誰もアイドルなんて望んでませんっ」






そこに待ち望んだ声が研究室の出入口から届いて、思わず振り返った。
見えたのはニヤけ顔で声をかけるタップとジョニーに、先頭を足早に進む南の姿。

…アイドルってなんだ。
その話の内容につい脱力しそうになって、溜息をついた。

ったく。



「コラ!遅いぞお前ら!」



道草は食っちゃいないかもしれないが、その仕事意識の低さに罵声を飛ばす。
途端に、ぱっと三人の目が俺に向いた。



「早く作業位置に機材運べ!」

「すみませんっ」

「すんませーんっ」

「はいはーいっ」



一人慌てて応えてるのは南だけで、タップとジョニーは変わらずいつもの対応。
あいつら…もう少し南を見習え。
というか同期だからって巻き込むなよ、いつもいつも。
おふざけが時々過ぎるぞ。
全く。



「あーっ!バク支部長駄目っすよ!今日は入ってきちゃ!!」



南達が運んできた機材を周りの機器に繋げるのを待っていると、不意にジョニーの声が出入口から飛んできた。
今度はなん───………何しに来たあの支部長ズ。



「馬鹿者、僕は優秀な科学者だぞ。どうせ人手不足なんだろうが、ぜひ手伝ってやる!」

「そうよ、退きなさいよ三下」

「そうそう」



慌てて止めるジョニーの言葉に耳を貸すことなく、偉そうに胸を張っているのは方舟解析でも邪魔しに来たバク支部長。
その隣にはレニー支部長とアンドリュー支部長の姿もあった。

……ああ、全く。
また邪魔しに来たんスか。
本当、支部長って肩書きだけなんスね。
これじゃただの、言うことを聞かない大きな子供だ。

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