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科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「さぁさ、おいで新人諸君。新しい家だ」



そこに聞こえてきた声に、嫌な予感が走った。
見れば、ぱんぱんと手を叩きながら催促するように呼びかける二体のスカル。
その呼びかけに、人形にされたタップ達研究員がのろのろと歩いて出入口を塞いでいる黒い方舟の壁へと消えていく。
従順なその姿は、まるで本当にスカルという生き物に変わってしまったかのようだった。

駄目、タップ行かないで。
そっちは行っちゃ駄目…!



「駄目…ッタップ…!」



手を伸ばす。
届かないことなんてわかってるけど、伸ばさずにはいられない。



「さっきからピーピーと煩いな。静かにしておくれよ」



そんな私を抱えているAKUMAが、呆れた声で見下ろしてくる。



「どうせ守化縷に改造するんだ。死なない程度なら大丈夫っしょ」

「あん?…ああ、成程」



え?



「あぐっ…!?」



私とアレンを拘束しているAKUMA達の会話が耳に届いたと思えば、強い激痛が腹部に走った。



「あぁあああッ!!!」

「ほーら、痛い痛い。大人しくしなけりゃ、もっと傷口抉るよー」



何をされてるかなんてわからない。
それ程の激痛が体と頭を支配する。
ただ腹部の怪我をAKUMAの手で、何かされていることだけはわかった。

それでも熱くて火傷しそうな程の激痛が体中を走って、叫ぶことしかできない。



「ッか、は…っ」



突如痛みが和らぐ。
激痛で痺れた体は力が入らなくて、ぐったりとAKUMAの腕に凭れた。
そこに寄せられたのは私を抱えているAKUMAの顔。
恐らく私のものだろう、赤い血で濡れた手を口元に寄せて、べろりと長い舌がそれを舐め上げた。



「あー、やば。そんな声聞いたら食っちまいたくなる」

「オイ、それ以上はダメだぞ。殺したらルル=ベル様にオレらが殺される」

「ヘイヘイ。ったく、人間ってのは面倒な生き物だなァ。すぐに死んじまう」



目の前から離れるAKUMAの顔。
その景色さえ掠れて、意識が朦朧とする。

…駄目、意識を失ったら。
ここで気絶したら…アレンも私も……



「……ッ…」



歯を食い縛る。

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