第13章 初任務
「何か気になることでも?」
「…ちょっとね」
「南さんとラビ、仲良いですもんね」
確かに仲が良いとは周りによく言われてきた。
意識してなかったけど、こうして改めて考えれば、よくわかる。
割とインドアな私によく声をかけてくれて、あちこち連れて行ってくれていたのはラビなんだって。
あの一件の後、ラビは嘘みたいにいつも通りだった。
だけどいつも通りじゃないことが一つだけ。
私に触れなくなった。
前は大袈裟なくらい、スキンシップをよくしてきていたのに。
軽く触れたりはするものの、あの大袈裟なスキンシップはなくなった。
以前は堂々と肩に腕を回してきたり、頭に肘を乗せてきたり、後ろから膝かっくんしてきたり……なんか思い出すと面倒臭い絡み方ばっか。
とにかく色々とスキンシップを取ってきていたのに、それを一切しなくなった。
しなくなった理由は、なんとなくわかってる。
わかってるけど…アレンでさえも気付かないくらいの仮面を貼り付けて、それをなかったことにしようとするラビだから。
下手に聞けない。
私だけが一人もやもやとしたまま。
…どうしよう。
「喧嘩でもしたんですか?」
「…似たようなもんかな」
ある意味では。
サラダを食べながら、溜息をつく。
「あ。ふぉれならっ」
「?」
そんな私を見兼ねてくれたのか。
隣で巨大なピザを飲み込むようにもぐもぐ頬張りながら、アレンはぴんっと指先を立てた。
…口元、トマトソースだらけですよ。
「今度の任務、僕とラビで行くんですけど。南さんも一緒に行きますか?」
「……はい?」
あっという間にピザを飲み込むと、口元の大量のソースをナプキンで拭き取る。
一連の動作の間にも指先は立てたまま、アレンはにっこりと笑った。