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科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「駄目…ッ!」



頭に攻撃を直に受けようとしているアレンに、気付いたら咄嗟にマントの中から手を伸ばしていた。
私にAKUMAを止める術はないけど、伸ばさずにはいられなかった。
じゃなきゃアレンの頭が吹き飛ばされてしまう!






「"天針(ヘヴンコンパス)"!!」






そこに響いたのは第三者の声。
アレンの頭を守るように、AKUMAの手を弾くように。
鋭い針の塊が突如出現する。
これは確かブックマンの技だったはず。



「間に合ったか、小僧…」

「ありがとうブックマン!」



後方から届く声は、やはりブックマンのものだった。
振り返ったアレンがお礼の言葉を張り上げる。

だけど。



「ブックマン…!?」



その声はすぐに驚きへと変わった。
振り返った先に見えたのは、壁にその小柄な体をめり込ませた散々たる姿のブックマンだった。



「AKUMAの能力に当てられたようじゃ…」



ブックマンの周りを取り囲んでいるのは、無数のAKUMA達。
その中心で、ブックマンの体がピキピキと謎の硬質へと覆われていく。



「今のが最後…指がかとおて動かん…」



口元に苦し紛れな笑みを浮かべて、辿々しく呟く。
どう見ても危機的な状況。



「ブックマ…!」

「アレンッ横!」

「!」



咄嗟にブックマンへと踵を返すアレン。
だけど上も下も右も左も。
どこもかしこもAKUMAだらけのその場で、味方を案じる暇もなく新たな無数のAKUMAがアレンに飛び掛かる。

駄目だ、本当に敵の数が多過ぎる。

なんでこの場にアレンとブックマンしかいないのか。
現在イノセンスが扱えるエクソシストは他はミランダさんとマリのみ。
でも今この教団には元帥達がいる。
彼らの手を借りれば、きっとこの場にいるAKUMAも薙ぎ払えるはず。

いち早く気付いたアレン達が先にこの場に到着しただけなのか。
新たな勢力が加勢しに来る気配は全くなかった。



───カッ…!



「!」

「ぅぷッ!?」



強い光が突如辺りを包む。
それがなんなのか把握する前に、アレンが珍しく乱暴な手つきで私の体をマントの中に押し込んだ。
視界がマントで遮られる。
同時に、ビリビリと強い衝撃が辺りを包み込んだ。

何…っ!?

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