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科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「ア、レン…っ」



見上げれば白いマントから幾重もの白い帯を周りに張り巡らせたアレンが、その支えで宙に浮いていた。
力を失ったAKUMAの体から退魔の剣を引き抜きながら、同時に私の体を引き寄せる。



「よかった…!」



強く抱き込まれて、間近で見える顔が心底安堵するように息をつく。
この場で初めて見せた、僅かな笑み。



「南さ…っその、怪我」



だけど忽ちその顔が引き攣ったものに変わる。
銀灰色の目を見開いて向けているのは、私の腹部。
見なくてもわかる。
多分、腹部は真っ赤に染まっているんだろう。



「だ、いじょぶ…私は…それより、皆を…っ」



リーバー班長やタップ達を。
皆は普通の人間だから、AKUMAに簡単にやられてしまう。

助けないと。
守らないと。

痛みに耐えてなんとかそうアレンに伝える。



「大丈夫です、今AKUMA達の目は僕とブックマンに向いてる。皆に危害は向けてな───」



そう鋭い目で辺りを見渡したアレンが、はっとしたように何かを見て止まる。
何?



「守化縷、まだ時間はある。出来る限り改造を続けなさい」

「はっ」



聞こえたのは、淡々とした感情のない声でスカルとかいう骸骨に支持を出すルル=ベルと名乗っていたノアの声。



「"卵"を方舟に入れたら退く。AKUMA達、それまでエクソシストを押さえろ」



その指示に、更に一斉にアレンに群がる大量のAKUMA。
その数に視界がふっと大きな影に飲み込まれる。
影に飲み込まれながら、見えたもの。
スカルという骸骨が再び研究員の頭に手を翳す姿に、思わず息を呑む。

駄目…!

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