第75章 無題Ⅰ
白い髪。
白いマント。
真上から落ちてきたその太い剣が、骸骨を脳天から真っ直ぐに貫く。
「ア………アレン…」
その人物を目の前に、リーバー班長がその名を呼ぶ。
上から降り注ぐ光。
見上げれば、アレンが繋げたのか。
あのクリスタルのような光る方舟の入口が、研究広間の天井に出現していた。
気付いてくれた。
助けにきてくれたんだ。
「…許さないぞ、お前達」
辺りをしかと睨み付けて、アレンが静かに低く呟く。
それと同時に、方舟からまた一つ影が舞い降りた。
小柄なそれはブックマン。
「…南さん」
目が合う。
AKUMAの腕の中にいる私に、確かに届いたアレンの声。
「待ってて。今、助ける」
それはデンケ村で、AKUMAに捕われた私に声をかけてくれた時と同じ。
優しいいつもと変わらぬ声で、不安にさせまいとしてくれる。
ただ、その顔にいつもの優しい笑みは浮かんでいなかったけれど。
強い瞳で、アレンは言ってくれた。
「ラビとちゃんと約束したから」