第75章 無題Ⅰ
「あぃ…!あぁあッあぁあぁああ!!!!」
「ッタップ…!やめて!やめてぇ!!」
炎を纏ったタップに手を伸ばす。
あまりの熱さに掌が焦げ付く。
「こらこら、お前さんも燃えてしまうと言ってるのに。おい、引き離せ」
「ッ…!?」
不意にぐんっと強い力で体を後ろに引き離された。
見れば、AKUMAが私の体を軽々と持ち上げていた。
「ぃ、嫌…!放してッタップが、タップ…!」
必死に暴れる。
腹部の痛みなんて気にならなかった。
それでもその腕から抜け出すことなんてできずに、目の前のタップの体が燃やし尽くされるのを私は見ていることしかできなかった。
ただただ、見ていることしかできなかった。
「ぁあぁ…ッ」
長いようで、それは一瞬だった。
強い炎はタップの体をあっという間に燃やし尽くして、その痛々しい悲鳴が段々と小さくなって。
やがて聞こえなくなった頃。
「タッ、プ…ッ」
炎は消え去り、其処に残っていたのは……真っ黒な、焼けた人の体だけ。
顔も腕も体も全部、真っ黒。
つんと強く鼻を突く、人の焼ける生々しい臭い。
人相なんてまるでわからず、タップであることか確認もできない。
それは焼死体だった。
嘘
タップ
タップが
……………死んだ?
タップ が 死 んだ ?