• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「お前さんのミソの出来も良さそうだし」

「やめて!タップに手を出さないで!」

「馬鹿、逃げろって…!」



咄嗟にタップの体に覆い被さるようにして庇う。



「嫌…!絶対に離れない!」

「お前…っんの…!」

「ッぁ…!?」



どんっと強く、遠慮ない力で体をタップに押される。
腹部の怪我で満足に踏ん張れない私の体は、簡単に弾き飛ばされた。



「言ったろ、オレはお前の保護者役なんだって…!」

「タップ…ッ」

「貸しだからな、南…!さっさと逃げろ!」

「ぃ…嫌…ッいや、タップ…!」



必死にタップに手を伸ばす。
突っ撥ねるタップの気持ちが、痛い程にわかったから。

いつもは私のこと、女としても扱わない癖に。
飲み会で遠慮なくお酒ガブ飲みさせたり、仮眠室で遠慮なく寝潰してくる癖に。
こんな時だけ、格好付けて命なんて張らないでよ…!



「おやおや、麗しい仲間愛か。大丈夫さ、二人共ミソの出来は良い。仲良く守化縷として活躍していけるよ」



そんな私達を他人事のように見守っていた骸骨が、やれやれと肩を竦める。
だから、と言葉を付け足して。



「お前さんも離れていた方がいい。この術は一人ずつしか適用できないんでね。近くにいたらお前さんが死んでしまうよ」



え?



「"オン"」



タップの額に手を翳したまま、骸骨の声がなにか言霊のようなものを発する。
それと同時だった。






───ボッ…!






「ッ熱…!」



タップの体全体に、強い熱が帯びたのは。
あまりの熱気に、反射的に腕で顔を覆ってしまう。



「ああぁああぁあ!!!」

「た、タップ…!やめて!殺さないで…!」



タップの体から勢いよく上がる炎。
あまりの熱気に、髪や服が熱風ではたはたと後ろに靡く。

駄目。
やめて。
そんなことしたらタップが死んでしまう…!

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp