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科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「クソ…っ南に手ぇ出すな…ッ!」

「おほ?なんだお前さん、そんな状態で動けるのかい」



額に翳された骸骨の手首を、横からタップがガッと強く掴む。



「タ…タップ…」

「オレ達に何しやがる気だ…!」

「おーおー、威勢がいいねェ。お前さんのミソの出来は良さそうだし。それに免じて、教えてあげよう」

「ッ…!」



タップに掴まれていない方の骸骨の手が、私の頭を撫でる。
何、ミソの出来が良いって。
どういうこと。



「お前さん達を材料に"卵"の番をする人形、"守化縷(スカル)"を造るんだよ。この間お前さん達のとこのエクソシストが沢山殺した所為で、数が足らなくてねェ」



私達を…材料?
何、スカルって。
それはAKUMAと違うもの?



「オレらを、材料、だと…ッ」



合点がいった。
だから私達は殺されなかったんだ。
筆でバツ印を付けていたのは恐らく、その人形の材料として適さなかったから。
それじゃあ───



「お前さんは良い人形になってくれそうだ。おめでとう」

「ッひ、嫌…っ」



額に再び翳される手。
自分の体に何をされるのか。
わからなくて恐怖が襲う。
それは"死"への恐怖と変わらないものだった。

逃げないと。
なのに体は恐怖と痛みで動かない。



「やめろ…!こいつに手を出すんじゃねぇ!」

「イタイイタイ。あまり引っ張らないでくれるかい」



骸骨の手首を掴んだまま、タップが声を張り上げる。



「逃げろ…ッ南!お前の足なら、まだ動けるだろ…!」

「タ、ップ…っ」

「おやおや。この状況で逃げ出せるとでも思ってんのかね」



潰れた足を引き摺って、タップが骸骨の腕を強く掴む。
私から遠ざけるように。



「そんなに先に逝きたいのなら、お前さんから造り変えてやるよ」

「っ駄目ッ…!」



骸骨の手がタップの額に翳される。
腹部の痛みなんて構ってられず、咄嗟に体は力が入った。

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