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科学班の恋【D.Gray-man】

第75章 無題Ⅰ



「畜生…これじゃ、動けね…」

「っ…」



嘘。
そんな。



「タップ…今、止血、するから…っ」

「馬鹿ヤロ…自分の止血しろよ…」



お腹を押さえたまま、這いずるようにタップの傍に寄る。

だって、こんなに潰れてるのに。
沢山、血が出てるのに。
これじゃあ命が助かったって、歩けなくなるかもしれない。
早く血を止めて、お医者さんに見せないと。
手当てしてもらわないと…ッ



「それより…南、周り、見てみろ…」

「え…?」



動揺している私に対して、タップは冷静だった。



「オレ以外の皆も、酷い怪我は負わされてるのに…命は、取られてない…」



タップの言葉に、辺りを見渡す。
その言葉通りだった。



「うぁ…」

「い…痛い…」

「…ッ…殺して、くれ…」



辺りに漂う鈍い呻き声。
立ち上がることもままならない程の怪我を負わされていながら、皆なにかしら力なく声を上げていた。

死んでいない。
皆、生きている。

……いや……違う。



生かされてるんだ。



「こいつら…何か、オレらに目的があるのかもしんねぇ…」

「何かって……なに、…」

「わかんねぇけど、嫌なことだけははっきりしてるな…」



あちこち倒れている、瀕死状態の研究員達。
よくよく見れば、それは無造作に倒れ込んでいるんじゃなく…"並ばされて"いた。
まるで死体安置所のように、一定の間隔で。






「準備は整ったわ。出て来なさい」






そこに凛とした、静かなあのノアの声が響く。
誰かに支持を出すかのように、高い位置で浮くAKUMAの肩に器用に腰を落ち着けて。
するとその声に反応するように、あの出入口の黒い壁に波紋が広がった。
あそこから大量のAKUMAが現れていたし…あの黒い壁は、もしかしたらアレンの操った方舟と同じようなものなのかもしれない。



「何…あれ…」



ズズ…と波紋を広げてそこから現れたのは、顔が白骨化した骸骨のままの、黒いマントを羽織った生き物だった。
それが三体程。
あんな骸骨、見たことない…なにあれ、あれもAKUMAなの…?
だけどその風貌はどことなく、今まで見てきたAKUMAとは別の生き物のように見えた。

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