第13章 初任務
それから三日間。
ラビは不自然な程、自然に"いつも通り"だった。
「南さん、溢してますよ」
なんなの、あれ。
確かに私も不注意だったかもしれないけど。
勝手にキスをして、勝手に閉め出して、振り回してきたのはあっちなのに。
まるでそんなことなかったかのように、いつもの態度だなんて。
「聞いてます?南さん、」
多分なかったことにしてるんだ、ラビの中で。
部屋から閉め出す瞬間、もう来るなって私に言った。
多分あれは拒絶の言葉。
「……わかりました。それなら、」
全く理解できない訳じゃない。
大人の世界だってそうだから。
嫌なことがあっても、無駄な問題を起こさない為に仮面を被るのはよくあること。
でも、私とラビの間に起こった亀裂は…無駄なことなの?
なかったことにして、透明の仮面を貼り付けて、自分の心にも蓋をして。
……なんだろう、凄い苛々する。
なんだって私がそんな気持ちにな───
「はい、あーん」
「んぶっ!?」
急に口の中に突っ込まれる、固い何か。
「んぐ、っうっ?」
「はい、溢さない。飲み込みましょう」
「んっんんっ!」
思わず反射で吐き出そうとすればその前に固い何かは引っこ抜かれて、言葉を発する暇も与えず瞬時に口を手で塞がれた。
白い頭の少年エクソシストに。