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科学班の恋【D.Gray-man】

第73章 あくまが来た日



「───なぁ南、そう拗ねんなって~」

「そうだよ。アイドルの座はリナリーしかいないんだからさー」

「誰もアイドルなんて望んでませんっ」



足早に機材を両手に抱えたまま、見えてきた研究広間に踏み込む。
後ろから届く二人の声に振り返れば、未だにニヤニヤと笑っていた。

思いっきりからかってるな。
というかリナリーと比べないで下さい!
私が霞む!!



「コラ!遅いぞお前ら!」



そこに飛んできた声は、この場で一番偉い人のもの。



「早く作業位置に機材運べ!」



耳に支持を出すイヤホンを付けた、リーバー班長その人だった。
バタバタと忙しい職場だから、あちこち支持を出してる班長も多少気が立っているらしい。
そうだよね、確か連続して徹夜四日目じゃなかったっけ…。



「すみませんっ」

「すんませーんっ」

「はいはーいっ」



慌てて三人で所定の位置に機材を運ぶ。
AKUMAの卵には沢山のコードが繋がれていて、今から本格的に中を解明する。
これはその大事な作業工程だった。



「あーっ!バク支部長駄目っすよ!今日は入ってきちゃ!!」



機材にコードを繋げていると、研究広間の開放型の出入口からジョニーの慌てた声が聞こえてきた。
目を向ければ…ああ。
また貴方ですかバク支部長…。



「馬鹿者、僕は優秀な科学者だぞ。どうせ人手不足なんだろうが、ぜひ手伝ってやる!」

「そうよ、退きなさいよ三下」

「そうそう」



ついでに今日はその両隣に他支部の支部長の姿も見えた。

オールバックに抜群のスタイルを醸し出している女性は、北米支部のレニー・エスプタイン支部長。
七三分けの金髪の目元優しい男性は、オセアニア支部のアンドリュー・ナンセン支部長。

あの三人よく一緒にいるよね…仲良しだなぁ。
どうせ手伝いと称して、AKUMAの卵を近くで見たいだけなんじゃないかな…。



「出たよ、我儘支部長ズ…」

「どうします?リーバー班長」

「はぁ…」



マービンさんとハスキンさんの言葉に、背中を向けたまま深く溜息をつく班長。
うわ…背中に哀愁漂ってる…本当、疲れてるなぁ…。

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