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科学班の恋【D.Gray-man】

第73章 あくまが来た日



「方舟から持ってきたんですかっ?」

「へー…あれ調べんの?はんちょ」

「まぁな。AKUMAの情報を得られるまたとない代物だ」



ラビも同様に興味を持ったようで、抗議していた声を止めてその目はまじまじと卵を見上げていた。



「ってか、それよりオレの槌も早く直してくれよー」

「ああ…そうしてやりたいのは山々なんだがなー…過労で倒れてく奴が多くて、人手不足でさ。これ終わったらすぐやるから」



それも束の間。
ぶーぶーと文句を垂れるラビに、やつれた顔でリーバー班長が罰が悪そうに頭を掻く。

方舟でのノアとの戦闘で、ラビの鉄槌や神田の六幻は大破してしまった。
その修理はすぐに行いたいところだけれど…班長の言う通り、AKUMAの情報を得られるまたとない代物だから、どうしてもこっちの研究が優先になってしまっていた。
というか本当、過労で倒れてく人が多いからね…。
ジョニーもさっき倒れて、点滴打ちに医務室に連れて行かれてたし…。



「待ったげよう、ラビ。リーバーさん目の隈酷いし…南さんも過労で倒れたら困るでしょ」

「…ちぇっ」



宥めるように声をかけるアレンに、渋々と口を尖らせるもラビは大人しく従った。



「てか南も、三日前より目の下の隈酷くなってんさ…あんま無茶すんなよ?」

「ぁ、うん。ありがとう」



プラカード越しに伸びたラビの手が、私の目元に微かに触れる。
労るようなその言動に、つい照れ臭くなって苦笑して返す。



「大丈夫だ、俺がしっかり見てるから」



そこに班長の声が割り込んだ。
にっこりと、ラビに笑いかけて。



「……見守るだけにしろよ」

「お前に言われたくないな、エロ兎さん?」

「だからオレは兎じゃねぇって…!」



にこにこと笑顔で言い切る班長に、抗議を上げるラビ。

こうしてラビやアレンが来て一気に騒がしくなった職場は、久々に見る光景だった。
当たり前に科学班の皆がいて。
当たり前にエクソシストの皆もいて。

その光景に、自然と口元が綻ぶ。

生きてる。
当たり前に生きて、皆と一緒に此処にいる。
そんな当たり前の幸せを、じんわりと実感したから。









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