第73章 あくまが来た日
「なんですか、邪魔しないで下さいウォーカー。私は質問をしていただけです」
「尋問の間違いでしょ!南さんに変なこと言ったら怒りますよ!」
「アレン、そいつどっか連れてけよ。尋問は二人だけでよろしく」
「ラビも僕への風当たり強くありませんッ?」
しっしっと払うように手を振るラビに、流石にアレンが不憫な気がして声をかけようとすれば。
「はぁ…ハイハイ。お前らは其処、南はこっちな」
「え?」
「あ。」
「オイっ」
両肩に手を置かれて、後ろから押された。
優しい動作で。
押されるままに踏み込んだのは、立入禁止の文字が書かれた、大きなプラカードの向こう側。
「此処から先は科学班以外立入禁止だ。入ってくるなよ?」
「うわ、ずりぃさリーバーはんちょ!」
「科学班以外立入禁止?」
私をその研究広間に優しく押し込んだリーバー班長が、にっこりとラビ達に笑いかける。
きょとんと顔を上げたアレンは、その目をプラカードから私達の後方───研究広間の中に向けて丸くした。
「あれは…生成工場の卵!?」
あ、やっと卵の存在に気付いたみたい。
こんなに目に強く主張してくるのに、今まで気付かなかった方が驚きだけど。