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科学班の恋【D.Gray-man】

第73章 あくまが来た日



「そういう話は後でお願いしますっ南だってまだ仕事が残ってるんスから。行くぞ」

「え、あ。」



花束やらなんやらをバク支部長に押し返して、リーバー班長に腕を引っ張られるままに引き離される。



「なんだ、冷たいぞリーバー!」

「あんたは上の会議で呼ばれてるでしょう!しっかり自分の仕事して下さい!」

「う。」

「…それは正論でございますな、バク様…」

「う、煩いぞウォン!」



そういえば中央庁からルベリエ長官率いる、お偉いさんが沢山やって来てたんだっけ。
元帥達も交えた教団会議を行う為、こうしてバク支部長や他の支部の支部長達も今は本部に足を運んでいた。
おかげでいつも人の多い本部だけど、更に知らない顔ぶれが沢山ある。



「はぁ…ったく」

「すみません、班長…」

「南は悪くないだろ、謝るな」



ウォンさんに連れられるバク支部長を見送りながら、同時に私達も方舟ゲートのある広間を後にする。
疲れた顔で溜息をつく班長に頭を下げれば、すぐに笑顔を返された。
やつれ具合は私より酷いけれど、その笑顔を見ると少しほっとする。



「会議が終われば、支部長達も帰りますし。少しは落ち着くと思いますよ」

「だといいがな…」



苦笑混じりのリーバー班長と足を進めた先。
見えてきたその研究広間に目を向ける。
大きな広間の開放型の扉の向こうに、目に強く主張してくるそれが見えた。

巨大な卵のような形をした物体。

それこそ、さっきバク支部長が話していたAKUMA生成工場の部屋にあった卵だった。
AKUMAを造り出すための源。
私達にとって何より重要な情報源。

クロス元帥はこの卵を伯爵から奪う為に、単独で方舟への侵入捜査を行っていたらしい。
見る限りは巨大な光る卵にしか見えないけれど、これがあのAKUMAを造り出すなんて───






「南っ!」

「わっ…!?」






思考は突然のハグで中断された。

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