第12章 記憶に焼き付く
「班長、起きて下さい。そんな所で寝ないで、仮眠室行きましょう」
朝方だけど、少しでも寝かせた方がいい。
どうせなら固い机じゃなくて柔らかいベッドで。
軽く肩を叩いて声をかければ、形の良い眉が寄る。
「ん…」
「班長、ほら」
「んん…」
でもそれまで。
…駄目だ、起きてくれない。
まぁ当たり前だよね、あんなに連日徹夜してたんだから。
「腕、回して。運びますから」
返事はするものの、ずっと寝惚けた状態の班長の腕を仕方なく自分の肩に回す。
身長が180cm以上ある班長と私じゃ、支えきれるか問題があったけど。
すぐそこの仮眠室までなら運べるかなと思った。
班長、半分起きてるし。
そう、思ってたんだけど。
「う、わわ…っ!」
現実は甘かった。
「わっぷ…!」
班長を支えて一歩踏み出せば、力の入ってない班長の体が私に凭れてくる。
その重さを支え切れず、一緒になって近くにあったソファに倒れ込んだ。
よ、よかった…ソファがあって。
「は…班長、大丈夫ですか?」
「う、ん…?」
思いっきり班長に下敷きにされる形で、倒れてしまった。
これじゃ抜け出そうにも抜け出せないかも…。
「ああ…大丈、夫」
すると寝惚け眼な班長の目がこちらに向く。
そして不意に、ぎゅっと。
「…班、長?」
抱きしめられた。