• テキストサイズ

科学班の恋【D.Gray-man】

第71章 〝おかえり〟と〝ただいま〟



「任務先で揉まれたか知らんが、前より綺麗になった」



ふ、と口元に優しい笑みを浮かべる元帥の言葉は、お世辞には聞こえない。
お酒の席で、アレンのことを珍しく褒めていた時と同じ。
優しくて温かい言葉。
少し気恥ずかしいけど…クロス元帥が見た目だけで女性を見ないことはもう知っていたから。
そんな人に褒められると、純粋に嬉しくなった。



「そう…ですか?」

「ああ。…前回の発言は訂正だな。3年経っても独り身だったら、その時は俺が貰おう」

「は?」



クロス元帥に支えてもらいながら照れて苦笑すれば、そんなことを言われて、ずいっと元帥の顔が──って近い!



「師匠!リナリーだけじゃなく南さんにもちょっかい出すのは止めて下さい!!」

「あーん?ちょっかいじゃねぇよ。口説いてんだ」

「はっきり言えばいいってもんじゃねぇさ!駄目だかんな、それ駄目!絶対駄目!」



詰め寄るアレンとラビをさらりと受け流して、クロス元帥の手が私の肩を抱くようにして支える。
思わず寄せられるままに、元帥の体に凭れてしまう。
支えてくれるのはあり難いけど、なんかこう…ちょっと色々近い気がする…!



「げ、元帥…今は早く皆の手当てしないと…からかって遊ぶのはやめて下さい…っ」

「あ?からかってねぇよ」



とにかくラビ達の怪我の手当てをしないと。
こうして言い合ってる時間も惜しくてそう声をかければ、鋭い眼孔は私を見下ろした。



「お前は良い女になってる。その証拠があれだ。まだまだ青臭いガキだがな」



あれ、と言って元帥が視線を向けたのは、未だ険しい顔して喚くラビ達。
あれが証拠って…ええと?



「女ってのは、見ないうちにどんどん綺麗になっていくもんだ。身形もだが、心もな」



相変わらず、他人が口にすればキザに聞こえそうな台詞を、さらりと素敵に口にするクロス元帥。
本当、アレンの見本みたいな人だなぁ…。

/ 1387ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp