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科学班の恋【D.Gray-man】

第71章 〝おかえり〟と〝ただいま〟



「なんさあんなことって。てか何普通に話してるんさ。なんか二人共仲良くなってねぇっ?」

「僕初めて見ましたよ。南さんと神田が普通に話してるところ」



そうだったっけ…。
……まぁ確かに神田とは、任務前はこうして会話したことはあんまりなかったかもしれないけど。



「いやいやユウは駄目だろユウは。アレンだけでも手に負えねぇってのに、ユウなんて追加されたらオレもう…!」

「………」



何。
なんの話。
一体なんの嘆きですかそれ。

一人頭を抱えて唸るラビに、内容は気になったけど聞かないことにした。
なんとなく下らない気がする。



「それより皆、早く医務室に…っ?」

「え?」



とりあえず皆怪我が酷いから、医務室に連れて行かないと。
そう思って声をかけようとすれば、不意に背中を支えてくれていたアレンの手が離れた。
アレンは普通に手を離しただけなんだろうけど、なんせ今の私の体は一人で立つのもままならないから。
急に支えを失って、ぐらりと視界が揺れた。



「おっと」



とん、と音がして。
肩に添えられた大きな手が、倒れそうになった私をなんなく支えた。

…あ。
この支えてくれる大きな手、前にも一度感じたことがある。



「なんだ。足腰ふらついてんな」



見上げれば、後ろから覗き込むように見てくる大柄なその人と目が合った。



「ありがとう、ございます…クロス元帥」

「大方、薬の影響なんだろ。元の体に感覚がついていってないのか」



…流石元科学者さん。



「そんなフラフラで、よく此処に一番に顔を出せたもんだ」

「…早く皆を出迎えたくて」



置いてけぼりは嫌だった。
子供みたいな我侭かもしれないけど…一番じゃなくてもいいから。
皆の帰りを、とにかく出迎えたかった。



「…ふぅん?」

「?」



そんな私をじろじろと見下ろしていた元帥が、不意に自分の顎に手をかけて笑った。



「南。お前…以前より良い女になったな」

「へ?」



急な褒め言葉に思わず目が点になる。

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