第71章 〝おかえり〟と〝ただいま〟
「ほーお。南はブックマンJr.の女だったのか。残念だったな、馬鹿弟子」
「変なこと言わないで下さい」
「そういうことは余所でやれ、うざってぇな」
「まぁまぁ、ユーくん。そうカリカリしないの」
「ラビっドサクサに紛れて南さんにセクハラしちゃ駄目だから!」
「リ、リナリーちゃん落ち着いて…っ」
自覚してしまえば、辺りから一斉に感じる視線とその声に、思わずギシッと固まった。
よく考えたら、これって結構恥ずかしいんじゃないかな…!
「ええと…も…もう平気?」
ぽんぽんと、ラビの頭を優しく撫でて声をかける。
するとラビは私の肩に顔を埋めたまま、ぎゅうっと更に───…ってちょっと。
「平気じゃない」
ぼそっとそんなことを言われて、腕の力が更に強まった。
え、いやちょっと。
皆見てるからね。
ラビだって周りの視線感じてるでしょっ
「いや…あの、ラビ…そろそろ皆来るからねっ」
そのうちにコムイ室長達も此処に来るはず。
皆にこんなところ見られたら、なんか恥ずかしいからっ!
「皆って?」
「コムイ室長とかリーバー班長とか医療班の…って」
なんか更に腕の力強くなっていってるんですけど…!?
そろそろ結構、痛いんですけど…!
「別にいいじゃんか。科学班の出迎え儀式なんだろ、これ」
「いや…これもうただのハグだから」
「ハグなんて挨拶の一環だろ」
「私、一応日本人だからっ」
そんな習慣、私にはありません。
というかこれはもう既に挨拶のハグじゃありませんっ