第71章 〝おかえり〟と〝ただいま〟
「…ん…ただいま」
するとラビの腕が背中に回って、そのままぎゅうっと抱きしめられた。
「ただいま、南」
噛み締めるように言葉にする。
どこか掠れた、小さな声。
胸がぎゅっとなる。
その思いのままに、血と焦げた臭いの混じった体に素直に身を預けた。
「おかえり…ラビ」
リーバー班長と同じくらいに高い背丈を折り曲げて、少し痛いくらいに抱きしめてくるラビの体。
触れて実感する、ラビが目の前にいること。
その存在に、どこか愛しさに似たものを感じた。
どんなに酷い怪我を負ってたって、ちゃんと笑顔で迎えるから。
だからどんな顔したっていいよ。
泣いてもいい。
弱い顔したっていい。
他の人に見せないように、私が隠すから。
ラビが私に、そうしてくれたように。
「………で。そろそろツッコんでもいいですか?」
不意に近くで届いたのはアレンの声に、はっとする。
あ。
そ、そうだ此処…っ思いっきり皆がいたんだっけ…!