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科学班の恋【D.Gray-man】

第71章 〝おかえり〟と〝ただいま〟



「待って待ってバクちゃん、僕も頭の整理できてないんだけど…わ、わかった。とりあえず、場所はさっき言った第三広間でお願いするから。皆は無事なんだね?」



皆?
皆って?

思わず拳を握って、腰が浮く。
体はふらつきそうになったけど、ぐっと踏ん張った。



「…そっか」



ほっと、大きく息をついた室長が再び椅子に腰を落とす。
どこか安心するかのように。
その反応って、もしかして…



「…っ」



電話の内容が気になる。
もしかして、バク支部長からアレン達の新しい情報でも入ったのかな。
でも今は江戸にいるはずだけど。



「うん、うん。そっか…皆…うん、よかった…」



室長の口元に、僅かに笑みが浮かぶ。

…もしかして。

思わず縋る顔で、室長を見てしまっていたのか。
そんな私の視線に気づいた室長は、受話器を耳に当てたままにっこりと私に笑ってみせた。



「無事なんだね。アレンくん達、皆」

「!」



きっと私の為に言ってくれたんだろう。
バク支部長に向かってかけたその言葉に、私は完全に立ち上がってしまっていた。

体がふらつく。
それはきっと不慣れな体だけじゃなく、その言葉にも心が揺さぶられたから。



無事だったんだ。
皆。
誰一人、欠けてない。



その事実が大きく私の心を包み込んだ。



「にしても、まさか方舟を操れるなんてね…いや。クロス元帥が一緒ならひとまず安心かな。僕もリナリーの顔見たいし、早く繋げてよバクちゃん」



室長の口調にフランクさが戻る。
それはまるで、ここ数日ずっと取り囲っていた不安な状況が落ち着いたことを示しているようだった。

でも方舟って…アレンが確か江戸に向かう為に使った乗り物だよね?
一瞬で遠い場所も移動できるっていう…あのノアの。
敵側の、乗り物だったはず。

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