第69章 夢世界
───オレの未熟さの所為さ
───この落とし前はキッチリつけさせてもらう…!
「ッ!?"ラビ"っお前、自分で…!」
「オレの責任だからな。火加減無しさ」
現実世界で木霊するオレの声を頭の内で聞いて、息をつく。
とりあえず、オレ自身をオレの手で止めることはできた。
まぁ自分で自分を攻撃するとか、自殺行為っちゃ自殺行為だけど…アレン達をオレの手で傷付けるよりはマシだろ。
「後は───…っく、」
ズ、と自分の胸から抜いたナイフを掲げる。
ドッ…!
振り下ろしたのはもう一人の"オレ"にじゃなく───…顔を失くして倒れているアレンの体。
ごぼりと、顔のない首から漏れた気泡が水面に浮かぶ。
───侮れないコぉ~…夢の中のボクを…
やっぱりな。
「…よくボクがこれに化けてるって、わかったね…」
顔を失って声帯なんてない癖に、その体から聞こえたのは少女の声。
まぁ、こいつの夢ん中だし。
なんでもありなんだろ。
「お前は…アレンが好きみたいだからな…」
読み通り、ロードの夢ん中でそいつの本体はこのアレンの体だったみたいだ。
「ふふ…見破られちゃったのは、これで二回目かなぁ…」
「は?なんのことさ…」
「キミの大切なコと遊んだ時も、不甲斐なく負けちゃったからねぇ~」
オレの…大切な子?
「…でも、死ぬ気なの?…ブックマン継げないよ」
まるで案じるようなその問いに、つい笑ってしまった。
「へっ…ここまで追い込んだのは誰さ…ッ」
自分でここまで人を追い込んでおいて、今更そんなこと問うのかよ。
微塵も気にかけてない癖に。