第11章 ぬくもり
「あ、あの……リーバー班長…」
「なんだ」
「…なんですかこれ」
「何って、お前の仕事」
「いや仕事って。なんですかこの数式!【1+1=】っていくらなんでも馬鹿にしてませんっ?」
「してない、してない。ほら、解いたら持ってこいよ。採点してやるから」
「やっぱり馬鹿にしてる!私は小学生ですか!」
職場に戻り、渡した書類を手に喚く南に、ひらひらと片手を振って本職と向き合う。
生憎、お前じゃこっちの仕事はこなせないだろ。
仕事の疲れも溜まってるだろうし、もうほとんど自分の仕事は終えてる南だ。
このまま部屋に戻って寝かせた方が良いことは、薄々わかってるんだけど…。
仕事と称して傍に置くなんて。
既に上司失格だな、これは。
「…終わりました」
「お。もうできたのか」
「当たり前です、全部小学生レベルの問題なんですから」
不服そうに言う南を適当に流して、赤ペンでチェックする。
「おー、100点満点。偉い偉い」
「…班長、馬鹿にし過ぎです」
一通り目を通して間違いがないことを褒めれば、南の顔は更にむすっと不服そうなものに変わった。
弄るのはこれくらいにしておくか。