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科学班の恋【D.Gray-man】

第11章 ぬくもり



「じゃあ南の仕事は終わりだな。こっち来い」

「え?でも私、その書類一枚しか…」



きょとんとしながら歩み寄る南に、ソファに掛かっていたブランケットを手に取る。
広げたそれを南の体を包むように掛けてやった。



「今日はこれで終わりだ。お疲れさん」

「お疲れって…」

「後は俺がやるから、お前は仮眠室で寝てろ」



何か言いたげな南の言葉を遮るように、ぽんぽんと頭を撫でる。
すると俯き加減に、照れ臭そうに視線を彷徨わせたかと思えば、南は大人しく引き下がった。

…なんだその仕草。

今まで頭を撫でるなんてこと、あまりしたことなかったが…こんな南が見られるとは。
……癖になりそうな気がする。



「でも、寝るなら部屋に…」

「今から戻ってたら、少ししか眠れないだろ?どうせ俺は徹夜だし、ついでに朝起こしてやるよ」

「………わかりました」



悩んだ末、申し訳なさそうに頭を下げる南。
悪いのはお前じゃないんだ、寧ろ俺だから。
傍に置いておきたいが為に、部屋に戻さずこうして拘束してる。



「では…お疲れ様です。すみません、お先におやすみなさい」

「ああ。おやすみ」



パタンと静かに閉じる仮眠室の扉。



「さて…」



それを見届けて再び仕事に向き直る。
手の届く範囲にいるだけで、不思議と俺を包む安心感。
自然と口元が緩みそうになって、くっと引き締めた。

いかんいかん。



「そろそろ本気で取り組まないとな」



未だ手付かずの、大量の計算表を目の前に苦笑い。
徹夜でも終えられるか、これ。









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