第69章 夢世界
心地良くて、温かくて、同時に胸が熱くなる。
ずっと傍で感じていたいもの。
───黒の教団は49番目のログ
───此処での裏歴史をオレは記録していくだけ
"おかえり、ラビ。任務お疲れ様"
"ん。ただいまさ"
───こいつらもいつか
───歴史から除外されていくんだろうか
「や、めろ…っ」
───南の隣で当たり前に笑えるようになって
───オレは教団での自分の笑い顔が
───嘘か本当かわからなくなってきた
「やめろ…ッ」
"お前はブックマンの継承者であり、それ以外の何者でもない"
"我らは記録の為に、偶々教団側にいるだけだ"
───ジジイの言葉が、辛いと感じるようになった
「やめろ…ッ覗くな…!」
耳を両手で塞いで拒絶する。
オレの頭の中で勝手に言いたい放題するんじゃねぇさ…っ
オレはオレだ。
そんな言葉に惑わされない。
───パシャ…
「!」
いつの間にか、あの薙ぎ払っていた教団の連中は消えていた。
浅い水場に佇むのはオレ一人。
水の上に何か落ちる音がして、視線を下げれば一枚のトランプが浮かんでいた。
…これは…
「…僕の落とし物」
拾い上げたのは、オレじゃない別の手だった。
「ブックマンに黙って、ずっと持っててくれたんですね」
静かにそう口にするのは、その手にしたトランプの持ち主。
「アレ───」
パンッ
「──!!」
"アレン"
そう呼び終える前に、その顔は横から翳された手によって吹き飛んだ。