第67章 出会い
「ありがとう。後は自分でやるから」
「…手伝おうか?」
「罰ゲームだし、いいよ」
ラビのその偽者に見えてしまった笑顔が、嫌だった訳じゃない。
ただ…ジョニーやタップやリナリーや、ラビと仲良くしている皆は本当に心から教団のことを思ってるし、大切にしてる。
そんな本気の心で彼らが大切にしている"仲間"というものを、さらりと口にするラビの言葉が軽く聞こえてしまっただけ。
ラビは"ブックマンJr."という特異な立場にいる人。
リーバー班長から、その立場も役割も教えてもらった。
世界の記録者となる彼らは、様々な土地や国を巡って様々な歴史を記録していく。
私の知らない世界を幾つも見てきたラビだから、きっと私の知らない思いも抱えてる。
きっと彼は彼なりの事情がある。
それも知らないで勝手に批判なんてしちゃ駄目だ。
「ラビも何か調べものあって、此処に来たんでしょ?私は大丈夫だから」
だから笑って応えた。
今の私ができる、精一杯の笑顔で。
「……ん。そっか…わかった。なんかあれば言えよ?手伝うさ」
「ありがとう」
そんな私にラビは一瞬言葉を詰めたように押し黙ったけど、その後は大人しくその場を去った。
───それからだ。
ラビと何かと言葉を交わすようになったのは。