第67章 出会い
私は科学班でラビはエクソシスト。
仕事仲間としての接点はあっても、特にそれ以上深入りはしなかった。
元々人懐っこいラビは、すぐに周りに溶け込んでリナリーやジョニー達とも仲良くなった。
でも私は、一番最初に聞いたラビの言葉が頭の隅にどこか残ったまま。
感情のない目で棺を見下ろしていた顔から、簡単に切り替えられた人懐っこい笑顔。
それが引っ掛かって、どうにもラビに心を許せずにいた。
屈託なくジョニーやリナリー達に笑いかける顔が、なんだか偽者のように見えてしまったから。
"…あ。"
"おー、南じゃんか。なんか調べものさ?"
そんなラビとの最初の接点になったのは、きっと書庫室での出会いだったと思う。
仕事の調べものがしたくて残業後に書庫室に寄れば、遅い時間帯に暗いその空間の隅で一人、大量の文献や資料に埋もれたラビを見つけた。
無言で資料に目を通していく様は凄く真剣で、今まで見たことのない表情。
思わず漏らしてしまった声に、気付いて上がった彼の顔は…もういつもの笑顔になっていた。
"うん、まぁ…ちょっと。仕事で使う資料を探しに"
"相変わらず科学班は仕事中毒さなー。無理し過ぎんなよ"
"どうもありがとう"
当たり障りない言葉を交わして、その時はその場ではすぐに別れたけど。
…あの真剣な表情が何故か脳裏に残って、中々消えなかったっけ。