第66章 アジア支部
リーバー班長の腕に抱かれて眠っている間。
意識は凄く深いところに落ちていて、悪夢なんて一切見なかった。
見なかったけど…。
なんだか、温かい言葉を聞いた気がする。
なんだか、温かい抱擁を感じた気がする。
単なる気の所為かもしれないけど…でも確かに、班長の腕の中は私にとって何より安心して眠れる場所だった。
……気持ちよかったな、班長の腕の中。
「………って、へんたいみたい」
思わず浮かんだ自分の思考に、ガクリと項垂れる。
仮にも相手は仕事の上司なのに。
そんな変態紛いなこと思っちゃ駄目だから。
…まぁでも、
「…はんちょうもあんなこというから…」
原因はそこにもあると思う。
上司としてじゃなく自分自身が。とか言うから。
…なんか…こう…変に意識してしまうというか…。
………。
………………うん。
「あれ、むいしきだったら…とんだじょせいキラーですよ。はんちょう」
熱く感じる自分の顔の熱を誤魔化すように、目の前の寝顔に愚痴る。
いくら見た目が子供だからって、私も一応成人女性なんですからね。
そういうこと、ホイホイ簡単に言っちゃ駄目ですよ。
勘違いしちゃう女性だって出てくると思うから。
だから……私くらいに、してて下さい、ね。