第66章 アジア支部
「約束させたのは俺だ。お前から頼ってきた訳じゃねぇだろ」
「それは…そう、だけど…」
でも結果的に頼ってしまったし…。
「弱い奴に興味はねぇが、中身も弱い奴は嫌いなんだよ。そんな奴と約束なんか、俺はしない」
「…わたし、なかみもよわいとおもうけど」
結局リーバー班長に泣いて吐き出すことでしか、感じた恐怖を緩和させることはできなかった。
だからあんなにいつまでも、情けなく怯え続けてしまった。
「弱い奴が、誰かの為に一人で立とうとするかよ。下手クソでも、お前なりの意志を持って自分で立ってただろ」
「………」
「そういう"強さ"なら認めてやる」
とん、と神田の指先が、さっきデコピンされた額に触れて指差す。
「科学班にしちゃ上出来な方だ」
…それって褒めてくれてるのかな。
思わずまじまじと見返せば、すぐに腰を上げて目線は高くなり重ならなくなった。
「…ありがとう」
まだまだ私は弱いと思う。
もっと強くなりたいと思う。
…でもこんな私を、ちゃんと見てくれてる人もいるんだ。
そう思うと、自然とそんな言葉が口から零れていた。
「むげんのけんさたんとうできるように、がんばるね」
私はエクソシストとしての力は何もないけど。
私なりにできることで、神田達を支えていこう。
「…期待せずに待っておいてやる」
そう決意を胸にはっきりと思いを伝えれば、神田らしい遠回しな言葉で返された。
遠回しだったけれど。
きっとそれは肯定の言葉。