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科学班の恋【D.Gray-man】

第66章 アジア支部



「すぐに、にんむにたつの?」



ズゥ老師の仕事部屋から出ると開口一番、神田に尋ねてみた。
バク支部長に急かされてたし、結構大事な任務じゃないのかな。



「ああ、さっき本部から連絡が入った。元帥の護衛任務だ、急ぐ必要がある」



元帥って…あの元帥?
神田が所属してる部隊は確か…ティエドール元帥の所だったはず。



「ごえいって…なにか、たいへんなことがおきてるのかな」



あのティエドール元帥だから、簡単に誰かにやられるとは思わないけど…神田を護衛につけさせるなんて。



「詳しいことはまだ聞いてない。…それよりお前は自分の心配してろ」

「ぃたっ」



ピンッと神田にデコピンされて、つい額を押さえる。
それ地味に痛いからやめてくれないかな。



「俺はこのまま任務に発つから、約束できんのは此処までだ」



…あ。



「本部に戻るまでは、念の為リーバーの傍にいろ。…もう平気だろ」

「…うん」



じっと見下ろしてくるその目を見返して、きちんと頭を下げる。



「ありがとう、かんだ。いろいろ…ほんとに」



こうやって前と変わらず皆と触れられるようになったのは、リーバー班長のお陰だけど。
それはきっと、神田の約束もあったからだと思う。
皆が私を守ってくれたのと同じ。
皆がいたから、私はこうして前と同じ自分でいられた。
そこは感謝してもし尽くせない。



「こんどはもっと、つよくなれるようにがんばる。かんだたちに、たよってばかりでいないように」



今回は、ずっと頼りっきりになってしまった。
リーバー班長は悪くないって言ってくれたけど…私自身が、強くありたいと思うから。
体は強くなれなくても、せめて心で皆を守れるように。



「…別に頼っちゃいねぇだろ」



不意に屈んだ神田の目線が、私に近付く。

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