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科学班の恋【D.Gray-man】

第11章 ぬくもり



「仕事の為だ、仕事の為。上司として部下を見に行くだけだ」



ぶつぶつと自分に言い聞かせながら、教団の廊下を一人歩く。
自分の想いを自覚した途端、こんなに意識しちまうなんて…情けない。



「南のことだからどうせ、うたた寝でもしてんだろ」



………。

まずい。
あり得る。

なんとなく言い訳するように呟いた言葉は、俺の心を騒ぎ立てた。
職場で書類に埋もれて、ぐーすか寝てた奴だ。
ラビの部屋でも遠慮なく寝落ちてしまう可能性は、充分あり得る。
いくらなんでも、こんな時間にラビしかいない部屋で眠りこけるのは頂けない。
無防備にも程がある。



「………そういや色々無防備だよな、あいつ…」



今まで意識してなかったからスルーしてたけど、よくよく思い返せば南の行動は不安だらけだった。
科学班の仮眠室で、ジョニー達と雑魚寝なんてしょっちゅうだし。
この間の科学班での飲み会で、タップにたらふく酒飲まされて泥酔してたし。
あの時酔ったコムイ室長がリナリーと間違えて、南に抱き付いてたっけ…。



「意識しなさ過ぎだな、俺も…」



幾つも思い当たる、今思えばひやりとする場面。
それに思わず額に手を当てて後悔。
男ばかりの職場で女を持ち出されても困りはするが、あいつを異性として考えなさ過ぎだった。

あいつもあいつだ。
自分の身形や状況より、仕事ばかり優先して。

仕事と仲間と。
教団とエクソシストと。

ジョニー程体が弱い訳でもないのに、点滴を打つくらいギリギリまで体に負担かけて仕事して。



「………」



それだけ優しい奴なんだ。
誰かの為に何かを成そうとする気持ちは、真っ直ぐなもの。

…だから俺も惹かれたのか。

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