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科学班の恋【D.Gray-man】

第65章 肌に触れる



その後。
隣部屋でジジと一晩過ごしたらしい神田の下へ、南と向かえば。



「………」

「お、ちょ、神田!?こんな所で抜刀するな!!」



予想通り、南の顔を見た途端に無言で六幻の柄を握って、俺に凄まじい殺気を飛ばしてきた。
隣で止めようとするジジが、その体に触れるのを躊躇するくらいに。



「す、すまん神田…」



…俺、殺されるかな。



「まって!」



それを止めたのは、俺の隣にいた幼い声。



「ぉ、おちついて、かんだ…ッ」



焦って顔を青くしながらも、神田の下に駆け寄る姿に躊躇はない。
そのまま背伸びしながら伸ばした小さな手は、六幻の柄を握る神田の掌に触れた。



「!」



驚いたように一瞬丸くなった神田の目が、その小さな手に移る。



「……お前」

「やくそくまもろうとしてくれたって、リーバーはんちょうからきいたよ。…ありがとう」



手を添えたまま見上げて笑いかける南に、神田の纏っていた殺気が、ふっと落ち着いた。
でもその目は険しいまま、じろじろと南を見る。



「…もう平気なのかよ」

「…まぁ…かんだがこわいかおしなければ、もっとちゃんとさわれるかな…」

「………」



沈黙した神田は、深く息を吐くと六幻の柄から手を離した。
再び南に向いたその顔は、もう険しい表情をしていない。



「ったく…面倒掛けやがって」

「…ごめん」

「謝るくらいなら、その酷ぇ面マシにしとけって言ったよな。なんで更に酷くなってんだよ。あ?」

「ぃたっ。ご、ごめんなさい」



それでもビシビシと、容赦ない神田のデコピンが南の額に落ちる。
おいおい…何もそこまでしなくても。



「神田、南のその顔は俺に責任があるから───」

「何当たり前のこと言ってんだ」

「う。」



落ち着かせようと声を掛ければ、ギロッと強い視線を向けられ止められた。
す…すまん。

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